そんとく塾で生きなおす

天は見てござる

一般社団法人ヒューマンハーバー

代表表取締役   副島 勲

1.起念

人生は竹の節のようなもの。節があるからこそ人は成長し伸びていくものです。躓きのない人生などありません。私は,二十数年間保護司活動をさせていただきました。しかしながら,保護司活動をさせていただく中で,私の思いとは裏腹に躓いた方の自立更生の難しさと自分の無力さを知りました。一方で私は,「なんとか躓いた方たちが真に自立更生できる新しい仕組みを世の中に作りたい」という強い思いに駆り立てられ「就労・教育・宿泊」の三位一体の自立更生事業を創業したいと思い構想を立てていきました。

2.創業

人生は出会いであります。誰と出会うかによって大きなドラマが生まれます。

平成二十二年八月四日,四年ぶりの仮釈放を迎える壮年が現れました。面談する度に彼の能力の高さに気づかされ,私の思いと彼を更生させるために,共に歩む事業構想を何度も語り,服役者が即働ける場は何かを考えました。着眼したのがスクラップ買い取り業と産廃の中間処理業でした。翌年彼は満期となり,素人二人で業界の調査や資金集め等に奔走しました。そんな中,九大の岡田昌治教授との出会いがあり,ご指導頂きながら日本初のユヌス・ソーシャルビジネス第一号としての認定を頂きました。その後、皆様方の温かいご支援のもと,平成二十四年十二月三日,株式会社ヒューマンハーバーを設立し,九年目を迎えております。その後、服役経験者を含む人づくり教育プログラム「心のスポンジづくり」を作り上げ、令和3年4月1日、「再犯を起こさせない社会づくり」のための教育と就労支援に特化した一般社団法人ヒューマンハーバーそんとく塾の本格始動を行い今日に至ります。

3.再犯防止の効果

罪を犯した方は,反省は一人でできますが更生は一人では出来ません。必ずや誰かの支えが必要です。その支えになる事を目的とした会社がヒューマンハーバーです。更生事業は終わりなき戦いであります。流れる水に文字を書くが如く,石壁に文字を刻むが如し。コツコツと繰り返し続けなければなりません。やれ成果は?結果は?と問われますが,例え今の成果がわずかであっても諦められません。何故ならば,私は人間こそ宇宙最大の資源と考えるからです。教育して磨けばダイヤの如く光り輝くのです。

元服役者が自立更生しますと

一.先ず本人が喜びます。

二.親や家族が泣いて喜びます。

三.安心安全な社会になり、地域や社会が喜びます。

四.国や行政が喜びます。働いて納税者になるからです。

五.当社への排出元企業は,社会貢献活動として企業価値が上がります。

六.大企業や行政も,元服役者の直接雇用は難しいのが現実です。しかし当社に排出して頂ければ間接雇用している事になり社会貢献活動となり喜ばれます。

多くの方から「自立更生させるとは納税者を育て増やす事。これこそ国家事業だ」とのお言葉を頂き,今は福岡の経済界をはじめ多くの企業様よりご支援を頂いており,心より感謝申し上げます。また、就労・教育・宿泊の三位一体の活動が評価され,日本財団の職親プロジェクト福岡事務局として福岡県をはじめ九州各県の職親企業・行政・法務省関係機関と協同し再犯防止にも取り組んでいます。

4.「心のスポンジづくり」

ここで当法人の実施している教育支援についてご紹介をさせていただきます。創業以来二十四名の出所者・出院者を雇用し,その内十七名についてはそんとく塾での教育支援を受けてもらいました。弊社の教育支援は「再犯を起こさせない社会づくり」という事業目的を達成するためには欠かせないものです。弊社が実施している教育プログラムは「心のスポンジづくり」という新しい形の教育プログラムです。人が人として生き直す時、人材としてではなく人財として生き直すことは大切です。そのためには,自己のものの見方や考え方、価値観を変えることから始めなければいけません。これが簡単そうに見えて一番難しいことです。なぜなら強く継続的な自律の心が必要となるからです。この自律の心を作ることこそが自立更生への第一歩だと私は考えます。「心のスポンジづくり」は,自立更生するために必要な種を撒き,新しい人生を芽吹かせる教育支援なのです。一方、弊社では就労支援も実践しております。「人材」から「人財」に変わっていただくためには,働くというリハビリの場も必要です。産廃・中間処理・清掃の作業や営業を通して、働くことの意義や意欲、達成感を感じ取らせ納税者となる人を育てています。また職の適正化を図るため,職親企業との連携を深め、別の就業場所の確保や職種の拡大にも取り組んでいます。

5.これから目指すもの

このように、「出所者が自立更生するための場を作りたい」「新たな被害者を生まない再犯のない社会を作りたい」と創業した株式会社ヒューマンハーバー、「再チャレンジを願う服役経験者や就労困難な方を納税者となれるよう支援し、100人の経営者を育てる」として始動した一般社団法人ヒューマンハーバーそんとく塾。まだまだ先の見えない道ですが,私はこの事業を何としてもやり遂げ,百年続く事業にしたいと日々懸命に活動しています。そして今,新たに出所者のための中間支援施設(自立更生に向けたリハビリテーション施設)を作りたいと考えています。この中間支援施設は仮出所者や満期者等が無料で一定期間社会復帰へのリハビリテーションと自立更生に向け,「就労定着のための職業訓練」と「心のスポンジづくり教育プログラム」を受けられる施設です。この施設を実現するためには,多くの費用を要します。是非とも弊社に多くの企業からお仕事を頂き,その利益を中間支援施設の運営に充てさせてください。心よりお願い申し上げます。余談ではありますが,弊社の「心のスポンジづくり」は社員の方々の意欲を喚起し個々の生産性の向上など会社への貢献度の向上にも役立つとご好評を頂いておりますので、是非ともご利用頂ければ幸いです。

日々懸命に活動していますと不思議です。天の神様が次から次へと門戸を開いて頂き,善きご縁を頂いています。縁尋奇妙です。皆様とのご縁をもとに「再犯を起こさせない会づくり」のため,更なる精進を重ねていく所存です。皆様のご理解とご支援を心よりお待ち申し上げております。

<福岡経済同友会での講演>              <そんとく塾での銃塾式の様子>

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